AI時代の創作児童ポルノ問題【総合解説】
AI時代に突入し、児童を性的に描いた極めて精緻な創作物が、爆発的に増加する懸念が出てきた。
解説者: メディアと人権研究所MAYUMEDIA代表 渡辺 真由子
漫画好きのメディア学者(メディア政策)。小学生時代は漫画家を志し、漫画研究会に所属。漫画家養成講座も受講するも、Gペンの扱いづらさに断念。『あさりちゃん』から『風と木の詩』、レディコミまで幅広く愛読。里中満智子氏のファン。
X: @mayumania
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児童を保護する法律として、日本には既に児童ポルノ禁止法が存在する。だが、AIによる子どもの性的虐待表現物(CSAM/性的ディープフェイクも含む)に対しては、処罰が困難との声があった。実在しない子どもを性的に描くマンガやアニメ、ゲーム等の創作物(「創作児童ポルノ」)を、同法は処罰の対象外としている、とみられてきたためである。しかしながら本研究によれば、児童ポルノ禁止法は現行の枠組みのまま、創作児童ポルノ規制にも適用が可能である。その実現は、同法の運用・改正次第であると考えられる。
▶本研究の概要版はこちら:
渡辺真由子(2025)「AI時代の性的ディープフェイクと児童ポルノ禁止法」『メディアと人権ジャーナル』Vol.2 No.1
調査協力
▶文部科学省
「青少年を取り巻くメディアと意識・行動に関する調査研究」
<調査目的>
国内外でのメディアによって表現された暴力・残虐表現等が青少年に与える影響に関する実証研究の動向について調査することを通じて、青少年の非行防止・健全育成に向けた取組のための基礎的な資料を得ることを目的とする。(報告書より)
<協力>
・性表現・性暴力表現に関する研究について(16頁)
・論文『性的有害情報に関する実証的研究の系譜 ―従来メディアからネットまで―』概要(35-36頁)
・ヒアリング(98-100頁)
▶▶詳細
▶内閣府
「性表現が青少年に与える影響研究等に関する調査研究」
▶東京都
「男女平等参画施策検討会」講師 -性的有害サイト・児童ポルノ問題における日本と海外の現状・対策について
メディア協力
▶共同通信
■日本サッカー協会幹部の児童ポルノ有罪について
(共同通信 コメント)
▶毎日新聞
▶AERA(朝日新聞出版)
世論調査
▶子どもの性行為等を描いた漫画や絵の規制について
●規制の対象とすべきである……86.4%
・規制の対象とすべきでない……9.1%
・わからない……4.5%
(内閣府「有害情報に関する特別世論調査」、2007)
科学的データ
研究論文『抄録集2.児童性的虐待表現物(CSAM)と表現の自由 渡辺真由子』
研究論文『抄録集3.創作子どもポルノの影響をめぐる科学的データ 渡辺真由子』
▶④創作児童ポルノによる、実在する子どもへの人権侵害とは?【現実の事例集】
研究論文『抄録集4.創作児童ポルノによる、 実在する子どもへの人権侵害【事例集】 渡辺真由子』
研究論文『抄録集5.日本の創作児童ポルノ政策に対する国際社会の評価 渡辺真由子』
研究論文『AI時代の性的ディープフェイクと児童ポルノ禁止法』(要約版)
▶⑧性的広告はなぜ法規制されない?「児童ポルノ禁止法」改正の裏側
<学会報告レジュメ 全文>
『メディアにおける「創作物の性表現」と「現実の性被害」との関係性
~児童買春・児童ポルノ禁止法改正案をめぐって』 渡辺真由子
<趣旨>
2013年6月、通常国会に提出されていた児童買春・児童ポルノ禁止法改正案は継続審議となることが決まった。改正案は、児童ポルノの所持を禁止する「単純所持の禁止」を導入することに加え、漫画やアニメ、CG等と性犯罪等との関連性を調査研究するよう政府に求めている。特に後者に関しては、出版界や一般ユーザーからの強い反発が見受けられる。
議論のポイントの一つは、例え性的虐待を描写した内容でも「実在しない人間を描く創作物を、規制対象とする必要があるのか」という点にあり、統一的見解は未だ定まっていない。
はたして、創作物であれば実在の被害者は生みださないのだろうか。本報告は「創作物の性表現」と「現実の性被害」との関係性に着目し、近年の性犯罪をめぐる複数の事例と、性表現の影響に関する研究理論やデータを検討し、創作物の性表現による弊害について考察する。
<発表内容>
1.児童買春・児童ポルノ禁止法改正案と創作物
2.創作物の性表現と現実の被害事例
(1)創作物による実在児童の権利侵害
(2)性犯罪における創作物の利用
3.性表現の影響に関する研究
(1)実写版ポルノグラフィ-の影響研究
(2)創作物の性表現の影響研究
(3)性表現の影響研究の限界
4.性表現規制の今後の方向性
▶▶「ネット時代の子どもの人権 ~人権の『国際規範』を考える~」 ゲスト講演(日本共生科学会、2018年)
▶▶An Analysis of the Japanese viewpoint on regulatory policy of virtual child pornography 和訳: 創作子どもポルノの規制政策における日本の視点 (International Telecommunications Society: Asia-Pacific Conference, June 2017 )
■研究発表の概要(日本語)
■発表スライド(英語)
▶論文
▶▶『メディアと人権ジャーナル』2023 Vol.1 No.1
「創作子どもポルノはなぜ問題か」
▶▶『メディアと人権ジャーナル』2025 Vol.2 No.1
「AI時代の性的ディープフェイクと児童ポルノ禁止法」
▶▶『メディアと人権ジャーナル』2025 Vol.2 No.2
「児童ポルノ禁止法の第2次改正に関する立法過程」
▶▶「子どもポルノをめぐる国際動向と人権」(『総務省情報通信政策研究レビュー』第10号、2015年)
-国際人権法の枠組み(欧州評議会によるサイバー犯罪条約や性的搾取・性的虐待子ども保護条約ほか)を概観したのみならず、それらにおける子どもポルノの位置付け、及び採用している子ども観や背後にある思想を明らかにした上で、「国際社会が日本の子どもポルノ政策に求める役割」を考察している。